20生活保護受給中に働ける?就労と収入のルールを徹底解説
生活保護受給中に働ける?就労と収入のルールを徹底解説

「生活保護を受給しているけれど、やっぱり働きたい」「働き始めたら、保護は打ち切られてしまうの?」
生活保護制度は、生活を維持するための最後の砦ですが、受給中であっても、可能な範囲で働くこと(勤労)は推奨されています。しかし、収入を得た場合のルールや手続きを知らないと、思わぬトラブルにつながりかねません。
この記事では、生活保護受給者が働く際のルール、収入申告の重要性、そして手元に残せるお金の計算方法について、行政書士が分かりやすく解説します。生活再建に向けた一歩を踏み出すために、正しい知識を身につけましょう。
生活保護制度における「就労」の考え方
生活保護制度の目的は、自立した生活を送れるよう支援することです。
そのため、働く能力がある方に対しては、就職活動や就労が積極的に促されます。
Q1:働いたら、すぐに生活保護は打ち切られる?
A:原則として、働き始めたからといってすぐに打ち切られることはありません。
生活保護の基準は、世帯の「収入額」と「最低生活費」を比較して決定されます。
得た収入はすべて保護費の代わりとして充当されますが、収入が最低生活費を下回る限り、その差額が保護費として支給され続けます。
ただし、努力の結果として収入が最低生活費を上回り、安定的に生活できるようになった時点で保護は停止または廃止(打ち切り)となります。これは「自立の達成」であり、むしろ目指すべき目標です。
Q2:どのような仕事でも認められる?
A:原則として、公序良俗に反しない仕事であれば、職種・雇用形態(アルバイト、パートなど)を問わず認められます。
重要なのは、働くことで得た収入を福祉事務所に正確に申告することです。
自己判断で申告を怠ると不正受給と見なされ、保護費の返還や最悪の場合は刑事罰の対象となる可能性があります。
収入の申告方法と「勤労控除」の仕組み
生活保護制度において最も重要なルールの一つが「収入申告」です。
Q3:収入は全額引かれてしまうの?
手元に残せるお金はある?
A:いいえ、収入が全額引かれるわけではありません。
働いて収入を得た場合、その収入から「勤労控除(きんろうこうじょ)」と呼ばれる一定額が差し引かれます。この控除は、受給者の就労意欲を高め、自立を支援するために設けられたものです。
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必要経費の控除
まず、通勤費や社会保険料など、働く上で必要な費用が収入から差し引かれます。 -
勤労控除額の適用
残った金額に対して、収入額に応じた一定額の「勤労控除」が適用されます。
この控除額は、収入が増えるほど段階的に増える仕組みになっています。
Q4:勤労控除後の収入はどうなるの?
A:控除後の収入は、「収入認定額」として最低生活費と比較されます。
計算の仕組み
・収入認定額=総収入ー必要経費+勤労控除額
・支給される保護費 =最低生活費ー収入認定額
勤労控除によって収入の一部を手元に残せるため、働かない場合よりも経済的にゆとりが生まれます。これが「働くインセンティブ」となるのです。
Q5:申告はいつ、どのように行えばいい?
A:原則として、収入を得た月の翌月の10日頃までに、収入額が確認できる書類(給与明細など)を添付して、福祉事務所に「収入申告書」を提出します。
申告が遅れたり申告額を間違えたりすると、その後の保護費の計算に影響が出ます。常に正確かつ期限厳守で申告することが、受給を続ける上での絶対条件です。
生活保護申請時の就労準備と行政書士の役割

生活保護の申請段階から就労を検討している場合は、その旨を福祉事務所に伝えておくことが大切です。
行政書士は制度の専門家として、就労後の生活がより安定したものになるようサポートいたします。
生活保護は、働けない期間のセーフティネットであると同時に、再び働き、自立するための足場固めでもあります。収入を得ることは、自立への重要なステップです。ルールを正しく理解し、安心して生活再建を進めてください。
手続きや申告方法に不安を感じたら、一人で悩まず、いちかわ行政書士事務所にご相談ください。

