19生活保護の根幹:憲法25条「生存権」との深いつながり

生活保護の根幹:憲法25条「生存権」との深いつながり

困窮した時に思い出してほしい「最後の砦」

生活保護と憲法につい打て調べるイメージ

経済的な困難に直面し、もはや自力での生活維持が難しくなった時、あなたの生活を守る「最後の砦」となるのが生活保護制度です。

しかし、「生活保護を受けることは恥ずかしい」「特別な人が受けるものだ」といった誤解や偏見(スティグマ)は未だに根強く残っています。

まず、この制度が単なる「お恵み」や「慈善」ではないことを知ってください。生活保護は、日本国憲法によってすべて国民に保障された「権利」に基づいています。その根拠こそ、憲法が定める「生存権」です。

本記事では、生活保護制度の揺るぎない根幹である「憲法25条の生存権」とは何か、そしてそれが私たちの生活にどう関わっているのかを、行政書士の立場からわかりやすく解説します。

憲法25条「生存権」とは何か

歴史を感じさせる古い本が並ぶ書棚。生活保護制度の歴史と変遷を象徴。

日本国憲法第25条は、「生存権」を明確に保障しています。条文は以下の二項から成り立っています。

【憲法第25条】

  1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

  2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

「健康で文化的な最低限度の生活」の深い意味

この条文の肝は、「健康で文化的な最低限度の生活」という言葉です。

健康的であること
 単に命がある状態ではなく、病気や障害があっても人間らしい生活を送るための健康が維持されることを意味します。

・文化的であること 
 衣食住の確保だけでなく、読書をする、テレビを見る、地域と交流するなど、社会の一員として心豊かに暮らすために必要な水準が保障されることを意味します。

この「最低限度の生活」の水準は、固定されたものではありません。時代とともに変化する経済水準や社会環境、そしてその人の置かれた状況(年齢、家族構成、健康状態)によって動態的・個別的に決定されるべきものとされています。

生存権を具体化する「生活保護法」の役割

憲法25条は、国民が国に対して「生活を保障せよ」と求めるための基本的な理念です。この抽象的な権利を、実際の制度として運用するために作られたのが生活保護法です。

生活保護法は、憲法25条を受けて、二つの重要な目的を掲げています。

Ⓐ 最低生活の保障(生活の安定)

生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を実施し、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障すること

Ⓑ 自立の助長(社会復帰の支援)

単に金銭的な給付をするだけでなく、自立して再び社会生活を送れるよう、必要な支援を行うこと。

この制度の適用にあたっては、「無差別平等」の原則が貫かれています。困窮の原因が「病気」「失業」「離婚」「災害」など、何であっても問われることはありません。日本国民である以上、すべての人に等しくこの権利を行使する道が開かれています。

権利行使の課題と行政書士の役割

生活保護は憲法が保障する権利ですが、残念ながら権利を行使するには「申請」という手続きが必要です(申請主義)。この申請の過程で、権利が十分に認められなかったり、心理的なハードルにぶつかったりすることがあります。

現実の障壁

  • 心理的抵抗: 周囲の目や家族への影響を恐れ、申請をためらってしまう。

  • 水際作戦: 窓口で「まだ働ける」「親族に頼れ」などと、不当に申請を拒否されるケースが散見される。

  • 複雑な手続き: 収入や資産の調査、扶養義務者への照会など、専門知識がないと煩雑に感じる手続きが多い。

 

行政書士に相談する最大の意味

生活保護の申請は、法律に基づいた正当な権利の行使です。行政書士は、その権利行使をサポートする国家資格者です。

  1. 申請手続きの代行・同行: 複雑な書類作成や、福祉事務所への申請手続きを代行・同行します。特に、不当な水際作戦に遭うリスクを最小限に抑え、スムーズな申請を支援します。

  2. 法的な根拠の提示: 申請者が憲法と法律に基づいた権利を持っていることを明確に伝え、不安や罪悪感を軽減します。

  3. 資産・収入の適正な整理: 保有資産(不動産、預貯金など)や収入状況を正確に整理し、法に則った判断がされるよう、福祉事務所との間に立ちます。

生活保護の申請は、決して後ろめたいことではありません。それは、日本国民として認められた「生存権」を行使する、前向きな一歩なのです。

まとめ:一人で悩まず専門家へ

あなたの生活は、憲法25条によって守られています。

もし今、経済的な困窮に直面し、「どうしたらいいかわからない」と一人で悩んでいるなら、その権利を行使することをためらわないでください。

生活保護の申請は、あなたの人生の再スタートを切るためのプロセスです。いちかわ行政書士事務所は、あなたが安心してその一歩を踏み出せるよう、法的な専門知識をもって全力でサポートいたします。 お住まいの地域や状況に関わらず、まずはお気軽にご相談ください。