21生活保護の対象となるのはどんな人?具体的な5つの受給条件を徹底解説

生活保護の対象となるのはどんな人?
具体的な5つの受給条件を徹底解説

生活保護受給の条件が5つあることを視覚的に認識しやすい数字の5

「生活保護を申請したいけれど、私は受給できるのだろうか?」「具体的な条件が複雑でよく分からない…」

生活保護制度は、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度です。しかし、申請にはいくつかの厳格な条件があり、これを満たさないと受給は認められません。

この記事では、あなたが生活保護の対象となるかどうかを判断するために、受給の原則と、満たすべき具体的な5つの条件を、行政書士が分かりやすく解説します。

生活保護の基本原則:補足性の原理

生活保護制度の前提となるのが「補足性の原理」です。これは、生活に困窮した際、国が保護する前にあなた自身や家族の能力、そして利用できる資産を最大限に活用することを求める原則です。

つまり、「生活保護は最後のセーフティネットである」という考え方に基づき、以下の5つのステップをすべて試みてもなお、最低限度の生活を維持できない場合に受給の対象となります。

生活保護の具体的な5つの受給条件

生活保護の申請を行う世帯が以下の5つの条件をすべて検討し、なお最低限度の生活を維持できない場合は保護の対象となります。これらの要件は申請者の個別状況に応じ、各自治体の福祉事務所が総合的に判断します。

条件1:収入が最低生活費を下回っていること

世帯の「収入」が、国が定めた「最低生活費」を下回っていることが最も基本的な条件です。

・最低生活費 
 地域や世帯構成(人数、年齢、健康状態など)に応じて国が算定する、最低限度の生活に必要な1ヶ月の費用です。

・保護費の支給額
 最低生活費から世帯の収入(年金、手当、就労収入など)を差し引いた「不足分」が、保護費として支給されます。

支給される保護費=最低生活費-世帯の収入
 

条件2:利用し得る資産がないこと

世帯全員が保有する利用できる資産をすべて活用することが求められます。

・預貯金
 原則として、最低生活費の一定割合を超える預貯金は認められません。

・不動産
 自宅の不動産(持ち家)は原則として売却を求められますが、資産価値が極めて低い場合などは保有が認められることがあります。

・生命保険
 解約返戻金が一定の基準額を超える場合は、原則として解約が求められます。

・その他
 自動車、貴金属、有価証券なども原則として処分(売却)し、生活費に充てる必要があります。

条件3:年金制度などを利用しても生活が困難であること

生活を支えるために利用できる公的な制度や手当をすべて優先して活用することが求められます。

・年金・手当の申請
 老齢年金・障害年金・遺族年金・雇用保険・児童扶養手当など、受給資格がある公的な給付はすべて申請し、収入として充当しなければなりません。

・年金制度の活用
 これらの制度を利用してもなお、生活が最低生活費を下回る場合に生活保護が補足的に適用されます。

条件4:病気などの事情により働くことが困難であること

働ける能力がある方は、その能力に応じて働くことが求められますが、病気や障害がある場合はその限りではありません。

・就労能力
 心身ともに健康で働くことができる状態にある場合、積極的に就職活動を行い、収入を得る努力が求められます。

・病気・障害
 病気や障害によって働くことが困難な場合は、医師の診断書などでその事実を証明し、治療に専念することで「働く能力の活用」という条件を満たします。

条件5:親族などからの援助が期待できないこと

民法上の扶養義務者(配偶者、親、子、兄弟姉妹など)からの経済的な援助(扶養)を優先することが求められます。

・扶養照会
 原則、福祉事務所から扶養義務者に対し、経済的援助の可否について「扶養照会」が行われます。

・照会が除外されるケース
 DVや虐待の経緯がある、長期間音信不通である、扶養義務者自身も経済的に困窮しているなど、特別な事情がある場合は扶養照会を行わないケースもあります。

よくある疑問:年金受給者や病気・障害がある人でも対象になる?

生活保護申請について悩んでいる人物

生活保護について考える際、「年金をもらっているから無理だろう」「働けない状態じゃないと申請できないのでは?」といった疑問を抱く方は少なくありません。しかし、生活保護は特定の属性を排除する制度ではありません。ここでは、あなたの抱える具体的な状況が、受給資格にどのように影響するのか、多くの方が疑問に感じる点について解説します。

Q1:年金収入がありますが、生活保護は申請できますか?

A1:はい、可能です。
年金収入があるかどうかではなく、年金収入とその他の収入を合計しても最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます(条件1)。年金受給者であっても、最低生活費を下回る生活水準であれば、積極的に申請すべきです。

Q2:病気や障害で働けないのですが、受給できますか?

A2:はい、可能です。
病気や障害により就労能力がないと認められれば、「働く能力を活用する」という条件(条件4)を満たすことになります。この場合、医師の診断書などを提出し、病状を客観的に証明することが重要です。

まとめ:あなたの状況を正確に把握することから

「生活保護申請サポート:困難な状況から立ち直る手助け」

生活保護の受給資格は、世帯の状況(資産、能力、家族、収入)によって総合的に判断されるため、一律に「〇〇だからダメ」と判断することはできません。

・「資産の評価額はどうなるのか?」

・「扶養照会は避けられないのか?」

といった、個々の状況に関する判断は非常に専門的で複雑です。

お気軽にお問い合わせください。

いちかわ行政書士事務所は、千葉県流山市を拠点に、生活保護制度を熟知した行政書士がお客さまの状況を丁寧にヒアリングし、受給資格を正確に確認いたします。一人で判断せずに、まずは専門家にご相談ください。申請手続きの煩雑な部分をすべて代行し、あなたの生活再建を全力でサポートいたします。