15生活保護の扶養義務とは?どこまでが対象?
生活保護の扶養義務とは?どこまでが対象?
生活保護の申請を検討されている方にとって、「扶養義務」という言葉は、しばしば大きな不安や疑問の種となります。
「家族が生活保護を申請したら、私が扶養しないといけないのか?」
「扶養義務は、具体的に誰までが対象なのか?」
このような疑問をお持ちの方に、今回は生活保護における扶養義務を分かりやすく解説します。
1,扶養義務とは?生活保護制度における原則
「扶養義務」とは、民法で定められている家族が、お互いに助け合う義務のことです。生活保護制度は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための制度ですが、その申請においては、まず「利用しうる資産、能力その他あらゆるものの活用」が原則とされています。
この「あらゆるものの活用」の中には、「扶養義務者からの援助」も含まれています。つまり、生活に困窮して保護を申請する際に、扶養義務のある親族がいる場合は、その親族からの援助が優先されるという考え方が基本にあります。
ただし、これはあくまで「原則」であり、扶養義務があるからといって、必ずしも援助を強制されたり、申請が却下されるわけではありません。
2,扶養義務者の範囲はどこまで?
民法877条では、以下の者が扶養義務を負うと定めています。
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直系血族:自分の親、子、祖父母、孫など
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兄弟姉妹
これらが「扶養義務者」にあたります。
つまり、生活保護の申請者がいる場合、その方の親、子、兄弟姉妹が扶養義務者として「照会(連絡)」の対象となる可能性があるということです。
Q. 離婚した元配偶者や、その実家は扶養義務者になるの?
A. 離婚した元配偶者は、原則として扶養義務者にはなりません。ただし、養育費の支払い義務など個別の取り決めがある場合はその限りではありません。元配偶者の実家(義理の親など)も、法律上の扶養義務者にはあたりません。
Q. 遠い親戚や、もう何十年も連絡を取っていない兄弟姉妹も対象になるの?
A. 法律上の扶養義務者にはあたります。しかし、生活保護の実務においては、後述する事情が考慮されます。
3,扶養照会とは?援助を強制されるのか?
生活保護の申請があった際、福祉事務所は扶養義務者に対し、「扶養照会(扶養に関する調査)」を行うのが原則です。これは、扶養義務者が申請者を扶養できるかどうか、また扶養の意思があるかを確認するためのものです。
具体的には、福祉事務所から扶養義務者に対して、書面で現在の経済状況や扶養の意思について問い合わせが行われます。
しかし、扶養照会があったからといって、扶養義務者が必ず援助を強制されるわけではありません。以下のいずれかの事情があれば、援助は不要と判断されたり、扶養照会自体が実施されない場合があります。
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経済的に援助が困難な場合:扶養義務者自身の生活が困窮している、または援助すると生活が立ち行かなくなる場合。
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DVや虐待の経緯がある場合:過去にDVや虐待、著しい対立があったなど、関係性が著しく悪く、扶養を期待することが適切でない場合。
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長期間音信不通の場合:長期間にわたり音信不通で、関係性が希薄な場合。
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扶養照会が申請者の自立を阻害すると判断される場合:扶養照会によって申請者の精神状態が悪化する、家族関係がさらに悪化するなど、デメリットが大きいと判断される場合。
これらの事情は生活保護法や厚生労働省の通知によって定められており、福祉事務所は個別の事情を総合的に判断することになっています。
4,扶養照会を避けたい場合や断られたら?
「家族に知られたくない」「過去の事情で連絡を取りたくない」といった理由で扶養照会を避けたい場合は、申請時にその理由を具体的に福祉事務所へ伝えることが重要です。ケースワーカーが事情を考慮し、扶養照会を行わない判断をすることもあります。
5,一人で悩まず、専門家にご相談ください
生活保護制度は、あなたの生活を守る大切な制度です。しかし、扶養義務の問題は非常にデリケートであり、ご自身で判断することが難しい場合も少なくありません。
いちかわ行政書士事務所は、千葉県流山市を拠点として、生活保護申請のサポートを行っています。扶養義務に関するご不安や複雑な手続きについて、親身になってお話を伺い、最適な解決策を共に探します。
「自分は対象になるのだろうか」「扶養照会で家族に迷惑をかけたくない」といったお悩みも、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。あなたの「今」を力強くサポートいたします。
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