07車を手放さなくてもいい?自動車と生活保護のルール
車を手放さなくてもいい?自動車と生活保護のルール
「生活保護の申請を考えているけれど、愛車を手放さなければいけないの?」
もしあなたが今、そうした不安を抱えているのであれば、ご安心ください。必ずしも自動車を手放さなければ生活保護を受けられない、というわけではありません。
千葉県流山市を拠点に生活保護申請のサポートを行っている、いちかわ行政書士事務所の行政書士、市川です。今回は、生活保護制度における自動車の保有ルールについて、多くの誤解を解きながら、その実情を詳しく解説していきます。
生活保護は、困窮する方の生活を支えるための重要な制度です。しかし、その運用には厳格なルールがあり、特に自動車の保有に関しては疑問を持つ方が少なくありません。
生活保護の原則:自動車保有は「資産活用」の対象
生活保護制度の基本的な考え方は、「利用しうる資産、能力、その他あらゆるものを、その最低生活の維持のために活用すること」です。この「資産の活用」には、当然ながら自動車も含まれます。
そのため、原則として、生活保護を申請・受給する際には、自動車を保有している場合、売却してその代金を生活費に充てることが求められます。自動車は、その価値が資産とみなされるだけでなく、ガソリン代、車検代、保険料、税金といった維持費が生活保護費の範囲内で賄いきれないと判断されるためです。
これが大原則であり、多くの方が「生活保護を受けると車は持てない」と考える理由です。しかし、この原則には、あなたの状況によっては柔軟に対応される「例外」が存在します。
例外的に自動車の保有が認められるケース
生活保護制度には、個別の状況に応じた「弾力的運用」の余地があります。自動車の保有についても、以下のような特定の状況下では、例外的に認められる場合があります。これは福祉事務所の判断によって異なりますが、可能性として知っておくことが重要です。
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公共交通機関が極めて不便な地域に居住している場合
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例えば、地域によってはバスの本数が非常に少なかったり、駅までが遠く、病院やスーパーへの移動が困難な場合があります。鉄道やバスなどの公共交通機関がほとんどなく、自動車がなければ日常生活(通院、買い物、役所手続きなど)を送ることが著しく困難な地域では、「生活に不可欠なもの」として自動車の保有が認められることがあります。
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身体的な理由により自動車が不可欠な場合
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重度の身体障害をお持ちの方など、公共交通機関の利用が著しく困難で、かつ福祉車両や自家用車による送迎が生活上不可欠と判断されるケースです。ただし、車両の種類や排気量に制限が設けられることが一般的です。
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就労のために自動車が不可欠であり、かつ自立につながる場合
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現在就労している方、あるいはこれから就労を目指す方が、その仕事の通勤に自動車がどうしても必要不可欠であり、他に代替手段がないと認められる場合です。例えば、公共交通機関では通勤が不可能・著しく困難な時間帯の勤務、勤務地が公共交通機関から著しく離れているなどの状況です。この場合、自動車の保有が「就労による自立促進」に資すると判断されれば、認められる可能性があります。この判断は非常に慎重に行われ、保有が認められても排気量や車種に制限があることがほとんどです。
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売却手続き中など、一時的な保有が必要な場合
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自動車の売却手続きを進めている最中や、病気や入院などで本人が一時的に手続きを進められないといった合理的な理由がある場合、限られた期間での保有が認められることがあります。これはあくまで「一時的」な措置であり、最終的には売却が求められます。
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申請前に専門家へ相談を
自動車の保有に関する判断は、個々の状況によって非常に複雑です。自己判断で「無理だ」と諦めたり、あるいは「大丈夫だろう」と安易に考えたりせず、必ず専門家や福祉事務所に相談することが大切です。
いちかわ行政書士事務所では、生活保護申請をサポートしています。自動車の保有に関するご不安や疑問点があれば、お気軽にお電話またはメールでご連絡ください。

